開講科目「スタートアップM&A」(秋学期)

科目名: スタートアップM&A
担当講師
経営管理大学院特命教授 松本 茂
経営管理大学院准教授 山田 和郎
配当学年: 1回生以上
単位数: 2単位
開講年度・開講期: 2024・後期
曜時限: 金3

 本講義は大企業とスタートアップのM&Aと共創を担うマネジメント育成を目的とする。
日本でもスタートアップへの投資を通じて新たな事業を探索する動きが本格化してきた。起業数やVC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達額も増加傾向にある。2023年末にはスタートアップに投資するVCの資金供給能力が1.4兆円に達した。一方で、日本ではVC投資のイグジットはIPO(株式公開)が中心で、IPOとM&Aが7:3の割合となっている。米国ではVC投資のイグジットはIPOとM&Aが1:9、すなわち9割が事業会社による買収で、このスタートアップM&Aが米国企業のイノベーションと利益成長の原動力となっている。米国の調査では事業会社のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が投資した企業はVCが投資した企業と比べ、投資後の特許取得件数が多い。今後、日本でのイノベーション創出にはM&Aによるイグジット市場の拡大が欠かせない。
 本講義では、スタートアップM&Aをテーマとして、起業家と大企業経営者の両方の視点からディスカッションを行う。①まず、スタートアップ経営の側から、POC(Proof of Concept)までの道のりや成長期の資金調達、イグジット戦略を概観する。②次に、大企業の側からスタートアップ投資による期待リターンの考え方を整理し、CVCのストラクチャやスタートアップのバリュエーションついて解説する③さらに、スタートアップM&Aを新結合の経営戦略として捉え、スタートアップと大企業の共創をケースを用いて掘り下げる。学術理論と実務を掛け合わせたスタートアップM&Aに関する最先端の講義を目指す。
 なお、本講義は株式会社ストライク社の寄附講義である。ストライク社はM&Aの仲介・アドバイスを行う上場企業であり、今後はスタートアップ企業と産業の育成に注力をしていくということで、本講義の趣意に賛同していただいている。